履歴書と疑問

自己破産はやむを得ない事情から抱えている債務を支払うことができず、住宅や車といった一定の価値がある自身の財産を手放すことで免責してもらう手続きです。

 

自己破産の手続きは債務整理の最終手段であり、自身以外の家族が所有する財産が処分されてしまうことはありませんが、自己破産後に就職して生活を立て直せるか知りたいという方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、自己破産後でも確実に就職するために知っておくべきポイントをいくつか紹介します。

 

履歴書に自己破産した経験を記入する義務や法的効力はない

自己破産した後の就職活動において、応募企業へ提出する履歴書に自己破産した経験があることを記入する必要はありません。

 

一般的な履歴書は過去に出場した大会で入賞した実績や、犯罪を侵して科された刑罰などを記載する賞罰欄があります。ただし自己破産の手続きは私的な事象であり、表彰や刑罰に該当しないので履歴書に記入する義務や法的効力はありません。

 

自己破産後の就職活動において、自己破産の経験は履歴書に記入しなくても罪に問われないのです。もちろん自己破産は意図せず至った事象であれ一般的にマイナスなイメージを持たれがちであり、公表した際に相手から好印象を持たれるケースは少ないでしょう。

 

応募企業で評価されうる表彰・受賞経験は就職活動を有利に進めるために記載するべきですが、書類選考でマイナスに作用するリスクが高い自己破産の経験は公表するべき内容ではありません。

 

一方で、入社した後に自己破産の経験を企業側に知られた際でも、自己破産を理由とする解雇は不当とされています。ただし過去に科された経験がある刑罰は、秘匿せず履歴書の賞罰欄に記入しなくてはいけません。

 

前科の記入を怠ったことが応募企業に発覚した場合、経歴詐称として内定取り消しや入社後の解雇を通告される場合があるので注意しましょう。

 

自己破産の情報を応募企業に調べられて発覚する可能性は低い

自己破産の手続きを行った情報は免許証や住民票などの公的な身分証明書には記載されませんが、紙媒体および電子版の官報に記載されます。

 

しかし、日頃から官報をチェックして採用選考を行っている企業は少ないと考えられるため、自己破産の情報を応募企業に調べられて発覚する公算は小さいです。

 

自己破産の情報が記載される箇所は官報号外の公告であり、「破産・免責・再生関係」の項目に債務者の氏名や住所、破産手続き決定年月日などの情報が記載されます。

 

しかし、官報は国立印刷局によって休日を除き毎日発行される点に加え、一紙で記載される破産手続きの情報件数は膨大なため、企業側がこれらすべての情報に目を通して応募者の情報と照合することは困難です。

 

さらに、国立国会図書館と全国の図書館が共同構築するレファレンス協同データベースのタックスアンサーによると、自己破産の情報はタイムリーに更新されるものではないため、破産宣告をした月日が特定できないと自己破産者の情報を資料から探し出すことは困難とされています。

 

また、電子版は無料で閲覧できる官報が直近30日以内と限られているため、応募企業に調べられて自己破産の情報を知られるリスクはほとんどありません。[注1][注2]

 

面接で自己破産の経験を申告する必要はないのでリラックスして臨む

先述した2つの理由から、自己申告しない限り企業が応募者の破産経験を把握することは困難です。そのため、人事担当者から「自己破産の経験について問いただされるのではないか」という心配は不要です。

 

一般的な就職活動と同様に面接はリラックスして臨みましょう。必要以上に緊張して臨むと「なにか隠し事があるのではないか」と逆に勘ぐられてしまう場合があります。

 

もちろん面接で自己破産経験の有無について尋ねられるケースは一般的に少なく、履歴書と同様に面接で自己破産の経験を自ら伝える義務もありません。加えて自己破産は犯罪や非行ではなく、やむを得ない事情から債務を返済できなくなった者が手続きを行える、国が認めた正当な制度です。

 

そのため、仮に企業が官報をチェックするなどの調査を行い自己破産の事実を知っていたとしても、理解のある企業であれば評価にマイナスを付けることはありません。

 

実際、厚生労働省が示す公正な採用選考の基本によると、雇用側は公正性に欠けた採用選考を行って採否を決定してはいけないとされています。

 

加えて就職差別を防ぐために応募者の適性・能力を基準に採用選考を実施し、これらと関係のない事柄を応募用紙に記入および面接で質問して把握しないようにすることが重要と示されているのです。[注3]

 

自己破産手続きの最中にある場合は就けない職種がある

弁護士バッジ

自己破産手続きの最中で免責が未確定にある場合、資格制限によって一時的に就労が制限される職種があるので注意しましょう。

 

ただし免責が認められて自己破産の手続きが完了した後は、復権によって資格制限がなくなります。資格制限により自己破産手続きの最中に就けない主な職種は次のとおりです。

 

  • 弁護士
  • 税理士
  • 不動産鑑定士
  • 警備員
  • 公認会計士
  • 旅行業者
  • 行政書士
  • マンション管理士
  • 宅地建物取引士
  • 建設業者
  • 証券外務員
  • 古物商

 

上述した職種以外にも資格制限で一時的に就けなくなる職種はありますが、一般的な民間企業への就職を検討している場合はほとんど関係ありません。さらに資格そのものは失効されないため、復権後に再度登録すれば上述した職種に就くことが可能です。

 

自己破産手続きが完了するまでの期間は同時廃止の場合で3ヵ月ほど、管財事件のケースは半年が目安とされています。

 

自己破産手続きを行っても選挙権および被選挙権は失われませんが、法人の代表や監査役は務められないので注意しましょう。また賭博や乱費などで生じた債務や、前回の免責から7年以上が経過していないケースは免責が認められないことがあります。

 

しかzし免責が認められなかった場合でも、詐欺破産罪に一定期間問われることがなければ復権して資格制限がなくなるのです。

 

自己破産の手続きが完了するまで就けなくなる対象は、弁護士や税理士といった公務員で国家資格が必要な職種が多く目立ちます。しかし教師や医者、介護士といった一定の職種は自己破産による資格制限の対象ではありません。

 

自己破産が後の就職に与える影響は少ない

自己破産の手続きを行った事実は企業側に知られるリスクが低く、仮に知られたとしても犯罪や非行ではないため就職に与える影響はほとんどありません。

 

ただし金融機関やクレカ会社といった一部の職種は信用調査によって不適格と判断されることがあります。自己破産の情報は信用情報機関に反映されるため、与信取引に関する業務を行う一部の職種は就職が困難なのです。

 

さらに、自己破産後でどの職種であれば就職しやすいかは各企業の選考基準によって異なるため、事前に弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

また、多大な債務を抱えていた際に自己破産の手続きを行っても必ず免責が認められるとは限らないため、免責となる見込みがあるかどうかの判断は弁護士や司法書士に相談しましょう。

 

[注1]レファレンス協同データベース:レファレンス事例詳細

[注2]国立印刷局:インターネット版官報

[注3]厚生労働省:公正な採用選考の基本



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