「借金があり結婚資金が貯められない」
「婚約者に借金の存在を打ち明けられない」
こんな悩みを抱えていませんか?
借金がある状態でも、程度により結婚に向けて前向きに動き出すことは出来ます。ただし、借金の影響を把握した上で、婚約者に伝えるべきか適切に判断する必要はあるでしょう。
結婚を控えた状態での借金の処理方法を含め、借金の対処法について解説します。
目次
結婚前の借金の影響
結婚時点で借金があっても、パートナーの職業や信用情報に影響することはありません。
借金はあくまでも債務者個人の「特有財産」であり、夫婦が共同で返済しなければならないという決まりはないからです。債権者が婚約者・配偶者・あるいはその家族に対して督促を行うことも、貸金業法で禁じられています。
問題が生じるのは、夫婦共同生活に欠かせないローンを契約するときです。
【参考記事】配偶者が債務整理した場合の影響やデメリットを詳しく解説
プライダルローンの審査に通りづらくなる
直近で借金の影響が起きやすいのは、結婚式費用を捻出するためのプライダルローンでしょう。
”地味婚”が増えつつある現在でも、結婚式費用の平均額は354.9万円(リクルートプライダル総研調査/リンク)と高額です。貯金から捻出できないなら、銀行でローン審査の上融資を受けなければなりません。
プライダルローンの申込名義人を夫or妻のどちらにするかはカップルごとの自由ですが、借金をしている人が申し込むと、当然審査通過の望みは薄くなります。
審査に落ちてもその理由がカップルに伝えられることはありませんが、結婚資金調達に失敗する上、パートナーから金融信用度に疑いをもたれる事態は避けられないでしょう。
住宅ローン審査に多大な影響を与える
次に影響しやすいのが、住宅ローン審査です。住宅購入のピークは30代~40代とされており、晩婚化が進んでいる現在では「結婚後5年以内に家を買う」というカップルが増加しています。
どのタイミングで家を買うにせよ「持ち家を検討する時期までに借金を完済しておけばいい」というものではありません。
住宅ローン審査では、信用情報に掲載される過去5~10年以内の与信契約利用履歴も判断材料となります。完済したはずの借金も、信用情報に残る限りは審査上のネガティブ要素になり得るのです。
以上のことから、結婚を決めたら一刻も早く債務をゼロにする方法を模索しなければならないと言えます。
結婚前の借金を処理する方法
それでは、結婚前の借金を具体的にどのように処理すればいいのでしょうか。
債務者ひとりの資力では到底完済できそうにない残債額なら、実家や婚約者の手を借りるという方法も考えられるでしょう。
しかしこれには問題があります。
【注意】婚約者の協力はあくまでも任意
婚約者に借金があることを打ち明け、一緒に協力して返済していくことになったとします。
注意しなければならないのは、返済協力はあくまでも婚約者(将来の配偶者)の好意に過ぎないという点です。家族となる人が借金返済に協力しなければならないという法律上の義務は存在しません。
加えて、借金返済に実際に協力してもらった場合、協力者に「求償権」が発生します。
【参考】求償権とは?
…債務を肩代わりした人が債務者本人に弁済を求める権利。
したがって、カップルの関係が万一破綻したときには、求償権を理由に「返済に協力した分お金を返して欲しい」と裁判上で請求される可能性があるのです。
債務に関する問題を家族に頼ることは、ベストな方法とは言えません。なるべく自力か専門家のサポートを元に解決すべきでしょう。
貯金を借金返済に充てる
貯金があるなら、これを借金返済に充てる方法が考えられます。それでもなお残債が残ったとしても、利息額が減って完済までの負担を軽減できるというメリットが生じます。
注意しなければならないのは「婚約者との共同貯金は借金返済に充てられない」という点です。お互いに自由に使っていいと約束していても、共同財産を所有者の同意なしで使うことは法的に認められません。
ファイナンシャルプランナーに相談する
結婚後の生活を含めて借金問題を解決したいときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみるのも一つの手です。
効率的なお金の貯め方・家計収支から見た完済時期の見込みをざっくりと教えてもらえます。
ただし、ファイナンシャルプランナーは「借金そのものを減らしてくれる存在」ではありません。数年にわたって指導内容をしっかりと守れることが前提となり、ちょっとしたライフスタイルの変化・ハプニングを織り込んだアドバイスまでは期待できません。
弁護士に相談する
直接的&迅速に借金問題を解決できるのは、債務整理を専門とする弁護士です。
利息をカットする交渉である「任意整理」をはじめとし、将来の夫婦にとってよりデメリットの少ない方法をアドバイスしてくれます。
債務整理中のプライバシー遵守も心がけてくれるので、婚約者に秘密にしたままにしておきたい人も安心できます。
【参考記事】債務整理の結婚への影響は?結婚前に債務整理すべき?
結婚前の借金でよくある疑問&トラブル
借金完済に成功しても、結婚後しばらく経ってから発覚して問題となることがあります。
あるいは、借金を理由として婚約破棄に至る最悪のケースも考えられるでしょう。ここでは、借金を巡って婚約者とトラブルになった場合の疑問について紹介します。
借金が理由で婚約破棄されても文句は言えない?
借金を理由に一方的に婚約破棄することは出来ません。必ず2人で話し合い、合意に至る必要があります。
準備を進めているのに連絡シャットアウト等の手段で無理やり破棄されてしまった場合は、慰謝料請求できる可能性があります。
結納金・独身時代に相手にしていた金銭的支援も返還請求できるため、弁護士に相談した上で相手に要求を伝えましょう。
独身時代の借金は離婚理由になる?
独身時代の借金があとからバレても、それだけを理由に離婚されることはありません。
きちんと自分のお小遣いの範囲で返しており、家庭への影響を最小限にするよう配慮していれば、裁判になっても離婚成立する可能性は低いでしょう。
ただし「借金以外にも家庭内で問題行動があった」「借金返済のため家族を経済的に追い詰めていた」というケースは例外です。
将来離婚慰謝料が生じる可能性もあるため、なるべく早めに債務を処理しておくほうが良いでしょう。
借金は結婚話が出た時に告白するのがベスト
借金があるなら、結婚の話が持ち上がった段階で早急に相手に打ち明けるのが最良策です。
20~30代の若い世代なら、生活費目的の借金は決して珍しいことではありません。早めに告白しておくことで、返済を含めた将来設計をふたりで話し合うことが出来ます。
どうしても解決できそうになら、迷わず弁護士に相談してみましょう。夫婦生活への影響を最小限にできる解決策を提示してもらえます。
まとめ
結婚前の借金は、結婚式・住宅購入などの費用調達に強く影響します。
完済しても信用情報には5~10年間記録が残されることを考えると、貯金等を活用して早めに残債を減らしておくべきでしょう。ファイナンシャルプランナーや弁護士に客観的なアドバイスをもらい、問題をいたずらに長引かせないようにするのも大切です。
「どうしても返済が難しい」「現時点で生活費すらままならない」という場合は、迷わず弁護士事務所の無料相談を活用してください。