「ギャンブルに負けて多額の借金を作った」
「罪悪感があり生活が苦しいのにやめられない」
その悩みはもしかすると「ギャンブル依存症」かもしれません。
ギャンブル依存症の特徴や診断基準と共に、本人と家族が一番気になる借金問題の解決方法についても解説します。
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目次
ギャンブル依存症とは
パチンコや競馬などに熱中してしまい、日常生活や家計に影響が出ている状態のことを、医学的に「ギャンブル依存症」と呼びます。
数年前までは性格の問題とされることが多かったものの、最近の研究で「いったん依存症状態になると自分の力で抜け出すことが出来ない」ということが分かってきました。この研究結果を受けて、ギャンブル癖に対しては周囲が手助けするかたちで治療を続けることが適切だと考えられるようになりました。
ギャンブル依存症は意外と多い
日本で実際にギャンブル依存症と診断された人は、男性で9.6%(女性は0.9%)※と決して無視できない数に及んでいます。
本人や周囲の人に自覚があるにもかかわらず診断を受けていない人は、まだ潜在的に多数いるでしょう。こうした発見されない人々を含むと、その数はもはや予想がつきません。
「自分だけかも」「だらしない性格だ」といった考えで済む問題ではなくなってきているのです。
引用:厚生労働省調査/2017年(リンク)
ギャンブル依存症の基準
ギャンブル依存症には医学的な診断基準があり、最新のものだと次の各項目が挙げられています。
一般に、どれか2つ以上に当てはまる人は医師の診断を受けるべきとされています。
- いつも頭の中でギャンブルのことばかり考えている
- ギャンブルに使う金額が次第に増える
- ギャンブルを止めようとしても止められない
- ギャンブルを止めているとイライラして落ち着かない
- いやな感情や問題から逃げようとしてギャンブルする
- ギャンブルで負けた後、負けを取り返そうとしてギャンブルをする
- ギャンブルの問題を隠そうとして、家族や他の人に嘘をつく
- ギャンブルの元手を得るために不正行為をする
- ギャンブルのために、人間関係や仕事、学業などがそこなわれる
- ギャンブルで作った借金を他人に肩代わりしてもらっている
引用:精神障害の診断と統計の手引き第3版(DSMⅢ)/米国版
ギャンブル依存症の人の借金の特徴
ギャンブル依存症には「借金してしまう」「嘘をついてしまう」という2つの大きな特徴があります。
借金を中心に、依存症の人の生活を時系列で追ってみましょう。
手持ちのカードで限度額一杯まで借りてしまう
強い危機感を覚える最初のきっかけとなるのが、手持ちのクレジットカードのキャッシング枠・契約した消費者金融などで限度額いっぱいまで使ってしまうことです。
ここで踏みとどまることが出来れば良いのですが、実際には多くの人が先に進んでしまいます。審査に通らなくなるまでキャッシング商品の新規契約を繰り返し、さらにそれらも限度額を使い切ってしまうのです。
あの手この手で追加融資を受けようとする
審査に通らず融資を受けられなくなると、今度は嘘や書類偽造をした上で何とか借りようとします。もちろん不正は審査担当部門に見破られてしまうため、融資を受けることは出来ません。こうなると、必要最低限の生活費をギャンブルに回し、さらにショッピング枠現金化などの禁止されている行動を取ってしまいます。
本人の生活が苦しくなり、家族や友人からお金を借り始める段階でもあります。ここで異変に気付いて手を差し伸べることが出来ればよいのですが、より悪い状況へと進んでしまう人が後を絶ちません。
闇金で借りる・生活に必要なものを質入れしてしまう
やがて事態は悪化し、ヤミ金で借りたり家財類を質入れしてしまったりします。
犯罪に巻き込まれるのは当然あってはならない事態ですが、見逃されがちなのは質入れの習慣です。「ギャンブルに勝てば取り戻せる」と信じて質屋を利用するものの、取り戻せる可能性は健全な生活をしている人すら低いのが現実です。なぜなら、質屋の年利は30%~50%と非常に高額であり、1~2ヵ月以内に返済できなければ質流れとするのが一般的だからです。
こうなる前に、何としてでも状況を食い止めるべきでしょう。
ギャンブル依存症の人の心理
ギャンブル依存症の問題に共通しているのは、独特の思い込みだと言えるでしょう。依存症状態に陥って正常な判断が出来なくなった人には「ギャンブルで勝つ確率は50%」「自分には勝つテクニックがある」と理由なく信じている傾向があるとされています。
もちろん、実際には違います。どんな種類のギャンブルでも「あらかじめ全体で決まっている”勝ち数”を参加者全体で奪い合う」という仕組みになっており、確率やテクニックはほとんど通用しないからです。
とはいえ、正常な判断が失われた状態では、ギャンブルの正確な仕組みを受け入れることが出来ません。分かっていながら続けてしまう人も大勢います。だからこそ、医師・弁護士・周囲の人によるサポートが必要なのです。
ギャンブル依存症が原因の借金問題を解決するには
ギャンブル依存症の疑いが出たら、法律事務所と医療機関の両方に相談しましょう。
家族と本人のために今すぐ解決すべき「借金返済の問題」は、法律事務所側で解決してもらえます。ギャンブル依存症治療を行っている医療機関では、投薬やカウンセリングによって衝動を抑える取り組みをしてもらえるでしょう。
複数の角度から対処をすることを意識して、次の順で相談を進めてみてください。
まずは弁護士に相談する
生活を圧迫し返済できなくなりつつある借金は、貸金業者または裁判所とのあいだに弁護士が入ることで解決します。債務整理を得意とする弁護士なら、本人の就労能力や症状の度合いに合わせ、より解決策としてふさわしい方法を提案してもらえるでしょう。
何よりもすぐに得られるメリットとして「弁護士に依頼すれば最短当日で督促が止まる」という点が挙げられます。真っ先に法律事務所へと対応依頼しておくことで、日常生活をまずは一旦落ち着けて、問題と向き合うための時間を設けることが出来ます。
医師の診断を受ける
弁護士との相談と前後して、専門医の診断を受けましょう。適切な治療を受けられるだけでなく、自己破産するときに裁判所へ申告しなければならない「返済不能の原因」の裏付けにもなります。
専門医の探し方や当面の対処方法が分からない時は、下記機関に相談してみてください。
貸付自粛制度を利用する
貸金業・銀行がそれぞれ加盟する協会に「貸付自粛」を届け出ておけば、当事者から融資の申し入れがあっても貸さないよう全国の金融機関に周知してもらえます。
届出は家族からでも本人でも構いません。依存症が完治すれば、再度申し入れることで自粛を解除してもらうことができます。自粛開始によってギャンブルするための資金を作れなくなり、根本的ではないが即効性のある解決方法です。
【貸付自粛制度を利用したい人へ】
金融庁(リンク)から、日本貸金業協会・全国銀行協会の問い合わせ先を確認することができます。
【注意】ヤミ金被害でかえって事態が悪化することも
強引に貸付自粛制度を利用すると、無登録の違法な貸金業者からお金を借りてしまうかもしれません。本人が自ら届け出ていたとしても、その後また正常な判断が出来なくなって無理に借りてしまう可能性があります。
貸付自粛制度を検討する場合は、弁護士・医療機関の両方から意見をもらい、これからの治療を意識しながら慎重に判断しましょう。
まとめ
ギャンブル依存症は「性格の問題」ではなく、治療を必要とする疾患のひとつです。心当たりのある人はなるべく早く専門機関に相談し、すでにある借金も含めて解決を目指しましょう。
債務整理を通じてさまざまな借金の理由に触れてきた弁護士なら、法律とは直接関係のない生活の悩みについても、簡単に提案してもらうことができます。
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