契約金利を引き下げながら借金を一本化できる借り換え専用ローン(おまとめローン)は、返済負担を減らすためのひとつの手段です。
ただし、現に返済できなくなりつつある人は利用するべきではありません。
借り換え専用ローンと債務整理との違いを紹介した上で、なぜ借り換え・借金の一本化がおすすめできないのか詳しく解説します。

そもそも「借り換え専用ローン」とは?

消費者金融や銀行では、借金完済を利用目的として契約できる借り換え専用ローン(おまとめローン)が提供されています。
契約するためには所定の与信審査に通過する必要があり、融資を受けられても借金完済以外の目的に使うことは出来ません。金利は利用目的自由のカードローン等に比べて低く設定されており、借り換え前よりも利息が安くなることで返済のスピードアップを図れることが強みです。

借り換え専用ローンの利用イメージ

借り換え前の債務:
A社で50万円(金利18%)
B社で100万円(金利17%)
C社で50万円(金利15%)

→借り換え後の債務:D社で200万円(金利14%)

借り換え専用ローンと債務整理の違い

借り換えも債務整理も借金減額を目的とするものですが、本質的には全く異なります。
借り換え・おまとめは「今後も同額の返済が続けられる状況」を前提にしており、収支に一定の余裕があるときの選択肢です。これに対して債務整理は「毎月支払額を減らさないと返済できない状況」で行われ、新規契約はせずに既存契約の条件見直しを行う性質のものです。

 

比較項目 借り換え専用ローン 債務整理(任意整理)
借金を減らす方法 低金利ローンの新規契約 弁護士を通じた契約見直し交渉
手続き後の再借入 できない できない
ブラックリスト 載らない 載る
減額後の返済期間 5年~10年 3年~5年
減額対象となる債務 原則キャッシング利用分のみ 大型ローン以外のほとんどの債務
減額幅 契約金利が下がった分 契約金利・過払い金をまるごとカットできる

 

債務整理のペナルティは借り換え専用ローンに比べて大きく、返済が難しい状況でもなんとか借り換え専用ローンを選ぼうとするのは無理もないことです。
ところが、そもそも債務を減らすという目的において、借り換え専用ローンは重大なデメリットを抱えています。

借り換え専用ローンのデメリット

借り換えローン・おまとめローンのデメリット

 

借り換えローンで勘違いしてはならないのは、借金総額そのものが減るわけではない点です。
元本(=借入した金額)を別の契約に移し替えるだけであり、過払い金請求や利息ゼロ契約は出来ません。借り換え前と変わらず利息が日々残債を元に加算されていくため、計画的に一括返済や繰上返済を駆使しない限り完済は遠のきます。

毎月返済額は借り換え前とほとんど同じ

借り換えローンの契約金利は3~15%で、銀行系カードローンや消費者金融の金利相場とほとんど変わりません。借り換え時に返済期間(分割回数)を延ばさなければ、毎月返済額を数万円の単位で減らすことは難しいでしょう。

 

例:金融機関3社の借金を一本化する場合(返済回数60回)
債権者/元金/契約金利
毎月返済額
総返済額
A社/50万円/金利31% 12,696円 761,781円
B社/100万円/金利17% 24,852円 1,491,126円
C社/50万円/金利15% 11,894円 713,682円
借換え前/200万円 49,442円 2,966,589円
借換え後/200万円/金利14% 46,536円 2,792,159円

 

実際には金融機関での審査時に最大返済回数が決められることが多く、自分のペースで支払いを続けることすら困難と言わざるを得ません。

一本化できる借金の種類は限られる

借り換えの対象となるのは原則としてキャッシング利用分のみです。クレジットカードのショッピング枠・エステローン・家電ローンなどはまとめることが出来ません。
今ある全ての債務の負担を減らすことは、借り換えローンでは実現しないのです。

多重債務・過重債務のリスクが高まる

借金を一本化しても、その後お金がまったく借りられなくなるわけではありません。借り換えは信用情報を傷つけず、新規与信審査に影響を与えることがないからです。おまとめ(または借り換え)先の金融機関以外であれば、さらに借入することが出来ます。

目先の日常生活にとっては良いことですが、油断してますます借金を膨らませてしまいがちです。債務過多による返済不能に陥れば、複数ある債務整理方法のうち最もペナルティの大きい「自己破産」は回避できません。
将来のために良かれと思って選択した借り換えローンが、かえって取り返しのつかない結果を招きかねないのです。

債務整理(任意整理)を選ぶメリット

借り換え・一本化より任意整理を選ぶメリット

 

「今のまま毎月返済額を捻出し続けるのは難しい」という状況下なら、借り換えローンよりも債務整理を優先して検討しましょう。結果として、借金の悩みの早期解決が実現します。

元本以上の金額を払わずに済む

債務整理のうち「任意整理」と呼ばれる方法は、債権者との交渉が成功すれば利息ゼロ契約に変更されます。手続き後すぐに総返済額が確定し、元本以上の負担はありません。
毎月返済額を効果的に減らした上で、返済プラン全体の見通しが立てることが出来ます。

過払い金請求できるケースであれば、元本そのものも減らすことが可能です。過去に払いすぎた利息を「すでに返済している」と見なし、利息ゼロ交渉と同時に残債への充当を求めることが出来るからです。

大型ローン以外の全ての債務が整理できる

債務整理はショッピング利用分の借金も対象とすることが出来ます。
クレジットカードのリボ払いで膨らんでしまった返済回数を減らしたり、エステやお習い事のローンの返済回数を延ばすことで毎月負担額を減らしたりすることも可能です。
住宅ローン・自動車ローン契約中のケースについても、競売や自己破産回避に向けて弁護士に対処してもらえます。

任意整理しても5~10年程度でブラックは解消される

任意整理は金融ブラック化することがデメリットですが、与信審査に不利な状態が永久に続くわけではありません。信用情報に掲載されたネガティブな情報には保存期限があり、任意整理の場合は手続き終了から5~10年程度で記録が抹消されます。
完済時期が不確定な借り換え(おまとめローン)に比べ、将来の計画が立てやすい手段だと言えます。

無理な返済を継続するほど選べる手段は減っていく

無理な返済を続ければ債務整理すら難しくなる

 

借り換え専用ローン・債務整理のどちらを選ぶにせよ、一刻も早く借金減額のために行動開始するべきです。毎月返済額のために貯蓄が形成できないような状態なら、今後ますます収支のバランスが悪化することは避けられません。

 

借り換え専用ローンの審査は「収入の安定性と申込者属性」が重視され、申込み時点までの毎月返済額の合計を捻出し続けられることが最低条件です。従って、返済が難しくなってからでは契約を断られてしまいます。
任意整理する場合でも「元本を最長60回分割で払える見込みがあること」が交渉成功の必須条件です。条件を満たせないほど収支状況が悪化していると、金融機関は交渉に応じてくれません。結果、個人再生または自己破産を検討することになります。

 

早めに借り換え後の返済シミュレーションを行った上で、その結果通りの返済を実行出来る自信がなければ、債務整理を視野に入れて弁護士に相談しましょう。

まとめ

借金の一本化・借り換えローンの本質は、元本を新しいローン契約へ移し替えるだけのことです。総返済額を確定させるようなものではなく、毎月返済額の負担減に過度の期待を寄せることは禁物です。
債務整理(任意整理)であれば、利息ゼロ交渉&過払い金請求により、手続き終了と同時に元本以下で総返済額が確定します。完済時期の見通しが立つことで経済的・心理的不安が減り、ブラック解消までの間にゆとりをもって生活立て直しを実現することが出来ます。

 

いずれにしても、無理な返済を継続することにメリットはありません。
借り換え専用ローンの返済シミュレーション・弁護士への無料相談を活用しながら、本当に自分の将来のためになる方法を選びましょう。

 

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