お金を借りる手段は、消費者金融や銀行だけではありません。

どうしてもお金が借りられず困っている人は、国や地方自治体の運営する「公的融資」も検討してみましょう。民間に比べて使い勝手や自由度は低いものの、無利息~低金利で借りられる点は魅力的です。

「債務整理を始めたものの当分の生活費がない」「教育や医療で急にお金が必要になった」という状況の人が利用できる、おすすめの融資制度を紹介します。

 

公的融資制度の特徴

お金が借りられない時に使える「公的優勢」とは

公的融資制度とは、障碍者・失業者・母子家庭世帯など「生活維持のための資金が不足している人」を対象としたものです。

利用目的ごとに制度が運用されており、社会福祉協議会または近くの役場で相談することが出来ます。お金を借りるにあたっては所定の審査が必要となりますが、返済能力よりも生活状況や利用目的を重視されるのが最大の特徴のひとつです。

利用対象者 制度一覧
低所得者・障碍者・高齢者家庭 生活福祉資金貸付制度
失業者・休職中の人 求職者支援資金融資制度
住む家や転居先のない人 住居確保給付金事業
シングル家庭 母子父子寡婦福祉資金貸付金

低金利なので負担が少ない

公的融資制度の多くは無利息~金利3.0%(年利)と低く設定されており、民間の融資サービスに比べてはるかに低い金利で借りる事が出来ます。
返済期間も原則5~6年程度と長く設定されており、万が一収入が減った場合は期間延長を申し出ることも認められます。

 

債務整理中orブラックリストでも利用できる

公的融資制度のなかでも地方自治体が運営するものは、審査時の信用情報照会が行われません。

過去の返済実績ではなく「利用目的をきちんと守れるか」「傷病等の一時的に収入を得られない状況に改善の見込みがあるか」という点が重視されるからです。

 

審査は時間がかかりがち

公的融資制度の審査は、役場や社会福祉協議会のメンバーにより、会議も交えて行われます。民間企業のような自動化はされておらず、審査結果連絡までに最短でも2週間かかるのが常です。

審査完了までの間の生活資金すらない場合は、そもそも申し込むことが出来ません。

生活保護を申請するべきと判断され、申請を受け付ける窓口で当分の生活資金について相談することになります。

 

生活福祉資金貸付制度

生活再建までの資金(日々の生活費・転居費用・教育費)の貸付を受けられる制度です。

580万円までの福祉費目的の融資・不動産担保型融資といった高額な貸付から、ごく一時的に生活維持が難しくなった人向けの緊急小口資金(10万円まで)まで、広い用途で活用できるのが特徴です。

申込みにあたっては社会福祉協議会の担当者との面談が必要になるため、十分時間をとってから向かいましょう。

生活福祉資金貸付制度

融資限度額:無担保の場合、目的により最大60万円まで(福祉費目的の場合は580万円)

金利:1.5%(連帯保証人がいる場合は無利子)

対象者:高齢者や障碍者のいる世帯・低所得世帯

申込める場所:各地域の社会福祉協議会

 

求職者支援資金融資制度

失業保険がもらえない人が利用できる複数の支援制度のうち、給付型ではなく返済が必要となるものです。通常はひと月あたりの限度額=5万円として申し込めますが、同居家族がいる人は10万円まで引き上げしてもらえます。

便利な制度ではあるものの、審査が行政ではなく労働金庫で行われていることに注意しましょう。債務整理中の人・以前返済トラブルを起こしたことのある人は、信用情報が原因で融資してもらえない可能性があります。

求職者支援資金融資制度

融資限度額:月額5万円または10万円×受講予定訓練月数

金利:3.0%

対象者:職業訓練受講給付金(後述)の受給が決定している人

申込める場所:ハローワーク

 

職業訓練受講給付金

失業保険がもらえない人向けの制度として、返済不要の給付型の制度も用意されています。

「再就職できないまま失業保険の受給期間が終了しそうな人」が含まれ、働く意欲のある人なら誰でも活用できるのが特徴です。

失業期間が長引きそうな人は、債務整理や他の公的融資制度と並行して、積極的に利用を検討しましょう。

職業訓練受講給付金

給付額:月額10万円+通所手当て

対象者:雇用保険に未加入の人・失業保険の受給期間終了した人・自営業者など

申込める場所:ハローワーク

 

住居確保給付金事業

失業が原因で「家賃が払えない」「もうアパートを追い出されそう(既に追い出されてしまった)」といった状況に追い込まれたときに活用できる制度です。返還不要の給付型となるため、再就職後の生活の早期安定に役立ちます。

注意点として、申込みに当たっては「入居後に継続して就職活動を行うこと」が条件となります。事情があり当面働けそうにない状況なら、先に紹介した生活福祉資金貸付制度を検討しましょう。

住居確保給付金事業

給付額:4万円~10万円(市区町村と世帯人数による)

対象者:離職後2年かつ市区町村指定の基準収入額を下回る人

申込める場所:各市町村役場

 

母子父子寡婦福祉資金貸付金

死別・離婚問わず、シングル世帯が利用できる貸付金制度です。子供がいなくても離婚による経済的困窮が見られる場合、前年度収入が自治体ごとの基準を下回れば申込が認められます。

「子供の就学費が足りない」「養育費や財産分与の話し合い中でお金がまだもらえない」といったあらゆるケースに対応できるため、少しでも不安があれば検討しましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金

融資限度額:100万円前後(自治体により異なる)

金利:無利子

対象者:シングル家庭

申込める場所:各市町村役場

 

その他の制度

母子家庭・年金生活者も使える「公的融資」の一覧

そのほかにも、医療費・出産費・介護福祉費が足りなくなった時のための融資制度は多数存在します。社会福祉協議会や債務整理を依頼した弁護士に尋ねて、利用できそうな制度を探してみましょう。

 

子供がいる人・出産する人が使える制度…

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 育児休業給付

 

高齢者のいる世帯が使える制度…

  • 介護休業給付金
  • 年金担保貸付

 

どうしてもお金が借りられないなら「生活保護」を

公的融資制度の多くは、健康状態に問題がなく再就職できそうな人を対象にしています。当面働ける見込みがない場合は、生活保護を申請しましょう。

生活保護のメリットは、受給開始までの間(2週間~30日)につなぎの資金を先に借りられる自治体があることです。手続きも決して複雑ではなく「債務整理している」等の周辺事情を話すことで、きちんと応じてもらえます。

 

まとめ

生活維持に欠かせない費用は、公的融資制度でまかなうことも出来ます。債務整理中や金融ブラック状態にある人でも、融資による生活再建の見込みがあれば、いま必要とする範囲内でお金を用意できる望みは十分あります。

 

「急いでいるから」「まだ大丈夫だから」という理由でキャッシングやローン契約を繰り返すのはNGです。債務整理のなかでも特にデメリットの大きい「自己破産」を選択せざるを得なくなるかもしれません。

まずは借金について弁護士に相談し、あわせて福祉制度についても尋ねてみましょう。

 

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