「借金の返済に追われて、弁護士に相談するお金がない…」
こんな状況を解決してくれるのが、国により運営されている法テラス(民事法律扶助制度)です。相談~債務整理終了のあいだ費用ゼロで弁護士のサポートが得られ、立替金の返済についても条件に当てはまれば減免制度が適用できるシステムです。
この記事を一読することで、すぐに法テラス利用を始められますよ。
法テラスは本当に無料?安心して任せられる?
法テラスは完全無料というわけではありません。
制度の本来の趣旨は「手持ち金ゼロでも法律トラブルが解決するまで弁護士のサポートが得られる」というものです。ひとまず弁護士と対面して相談してみたい段階のみ完全無料であり、弁護士による債務整理手続きが終了したあとは費用を返済しなければなりません。
法テラス(民事法律扶助制度)の内容
①依頼前相談の支援
…所得条件を満たすことで、相談費用を立て替えてもらえる(返済不要)
②弁護士依頼の支援
…所得条件を満たすことで、弁護士依頼にかかる全費用を立て替えてもらえる(返済要)
法テラスで立て替えてもらえる費用
より具体的に法テラス利用で立て替えてもらえる費用を紹介すると、次の通りです。
法テラスで立て替えてもらえる費用
- 初回相談費用※返済不要
- 着手金
- 弁護士報酬
- 書類作成費用
- 弁護士の日当(裁判所へ出廷するときの交通費など)
- その他実費
以上のように、弁護士との相談・契約に必要な下記料金の全てが対象となります。
法テラス利用者が対応に差をつけられることはない
弁護士側で受け取る報酬は、自力で費用を払える依頼人のケースと差はありません。お金がないことを理由に他のケースと差をつけられることはなく、親身で安心できる対応をとってもらえます。「借金で困っていて恥ずかしいから」「ぞんざいな対応をとられるかもしれない」と不安に思う必要はありません。
費用返済は債務整理後2~3年間の分割払いでOK
立て替えられた弁護士費用の返済については、お金のない人に十分配慮されたプランが組まれます。
弁護士による債務整理手続き中は返済が猶予されており、一切お金を支払う必要はありません。費用返済が始まるのは債務整理が終わったあとで、2~3年の分割払いに対応してくれます。
弁護士に自己破産(同時廃止)を依頼した場合の支払いプラン
弁護士費用の相場:20~30万円
→免責決定の翌月から1ヵ月あたり8,000円~1万円の返済でOK
債務整理には最短でも3ヵ月はかかり、その間借金の返済義務もありません。弁護士が手続きしているあいだ家計の立て直しを行っていれば、費用返済は十分達成できます。
法テラス利用の3つの条件
法テラスで費用立替を受けるには、下記3条件を満たさなければなりません。「資力基準・資産要件」以外は、相談先の弁護士が判断してくれます。
条件1:資力基準・資産要件
法テラス利用では、依頼人の世帯人数ごとに「月収額」「家賃or住宅ローン負担額」「資産要件」の全てが一定基準を下回った人を対象としています。
世帯人数 | 月収額 | 家賃or住宅ローン負担額 | 資産要件 |
---|---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
180万円以下 |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) |
5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
250万円以下 |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) |
6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
270万円以下 |
4人以上 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) |
7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
300万円以下 |
※カッコ内=東京・大阪などの生活保護一級値の場合
表の条件に該当しない人でも、法テラスによる審査で「利用に適する」と判断してもらえれば問題ありません。まずは申し込んでみるのが良いでしょう。
条件2:勝訴の見込みがないとは言えないこと
2つ目の利用条件は、弁護士に「少しでも交渉成功または勝訴の見込みがある」と判断してもらえることです。債務整理の事例なら、ほとんどのケースで条件を満たすことが出来ます。
条件3:民事法律扶助の趣旨に該当すること
「弁護士と個人的に話してみたい」等の法律相談の趣旨に該当しない依頼は、民事法律扶助の趣旨に該当しないと判断されてしまいます。
債務整理の事例なら、条件2と同じくほとんどのケースで条件を満たせるでしょう。
おすすめの法テラスの利用方法
実際に法テラスを利用する際は、ルートが2通りあります。
【2パターン】法テラス利用までのルート
- 法テラスで弁護士探しから任せる
- 自力で弁護士を探してから法テラスを利用する
おすすめは2のルートです。
法テラスで弁護士探しを任せると、相談したい人自身で弁護士の良し悪しを判断することが出来ません。良さそうな弁護士(法律事務所)を見つけてから直接法テラス利用可否を尋ねる方法をとれば、費用負担をなくしながら後悔のない債務整理に成功します。
弁護士を見つけてから法テラスを利用するときの流れ
弁護士を探してから法テラスを利用するときは、次の流れで手続きを行います。
一番重要なステップは、電話orメールでの面談予約時に「法テラスの費用立替制度は利用できますか?」と尋ねておくことです。
おすすめの法テラス利用の流れ
- スマホ・PCから債務整理に強い弁護士を探す
- 電話orメール相談で法テラス利用可否を直接尋ねる
- 初回面談時、法律事務所で法テラス利用手続きを行う
相談と依頼費用の立替を申し込む際は、専用の申込書に記入して審査を受けなければなりません。この用紙は法テラス利用に対応する法律事務所で用意されているので、相談時に記入できます。
法テラスで弁護士を探してもらったほうがいいのは?
もし相談できそうな弁護士が見つからないときは、法テラスを通じて弁護士を探してもらったほうがいいでしょう。
司法過疎地と呼ばれる弁護士の少ない地域に住む人や、障碍等があり居住地の福祉制度について相談したい人は、法テラスで弁護士を探してもらうのがベストです。
弁護士探しから法テラスに任せるときの利用の流れ
- サポートダイヤル(公式サイトリンク)に連絡
- 居住地を伝え、債務整理に対応する弁護士を探してもらう
- そのままサポートダイヤルで面談予約をとる
- 初回面談時、法律事務所で法テラス利用手続きを行う
法テラス利用申込の必要書類
法テラスへの申込書には、利用審査に必要な「収入を証明できる書類」を添付しなければなりません。弁護士への相談時に念のため確認をとり、債務整理に必要な書類と合わせて持参しましょう。
法テラス利用の必要書類(下記いずれか)
- 給与明細(直近2ヵ月分)
- 課税証明書(直近のもの)
- 確定申告書の写し(直近1年分/収受印のあるもの)
- 生活保護受給証明書(直近3ヵ月以内に発行されたもの)
- 年金証書(通知書)の写し(直近のもの)
立替費用の返済を行う方法
立替費用の返済は原則として「弁護士との契約後2ヵ月後」ですが、先に解説したように債務整理終了まで猶予してもらえます。銀行の口座振替を利用するため、預金口座を持っていない人は開設しておきましょう。
過払い金請求で借入残債を上回る返還金があったケースでは、返還金から費用を差し引いてもらい、残りを返済します。
返済が難しいときは「償還免除制度」を
返済中に「生活保護の受給を開始した」「収入が減った」等の事情が発生してしまった場合は、償還免除申請を行いましょう。法テラスに問い合わせることで届く所定の用紙を返送すれば、約6ヵ月程度で一部or全額免除の通知を受け取れます。
まとめ
法テラスは国が運営する信頼性の高いサービスです。
「手持ち金ゼロで弁護士に債務整理を依頼できる」という点がメリットですが、完全無料ではなく債務整理が終わったあとに費用返済が始まることに要注意です。
弁護士を探してから法テラス利用可かどうか確認をとり、申込時の必要書類をもって面談に向かうとスムーズですよ。
借金問題に悩んでいる人は、早速行動してみましょう。