家賃が払えず数か月分まとめて請求されたときも、弁護士による債務整理で分割払い交渉を始めることが出来ます。滞納が原因で強制退去になることも、実は滅多にありません。
ただし、必ずしも自宅を追い出されないとも限りません。保証人への迷惑や転居先を探しにくくなる点を考えると、あまり長らく状況を放置すべきでないと言えます。
最悪の事態を免れるためのポイントを含め、今後どう対応すべきかのヒントをお伝えします。

家賃が払えないとどうなる?(強制退去までの流れ)

家賃滞納から強制退去までの流れ

 

家賃滞納が始まると、以下のスケジュールで強制退去に向けて状況が動き始めます。どんなに寛容な対応をしてもらっても、滞納6ヵ月目には法的措置がとられるのが一般的です。

 

【家賃滞納時】強制退去までの一般的流れ

滞納1ヵ月:本人に督促
滞納2ヵ月:保証人にも督促開始
滞納3ヵ月:滞納分の一括請求
滞納4ヵ月:保証会社による代位弁済
滞納5ヵ月:契約の強制解除+自主退去勧告
滞納6ヵ月:差押え+強制退去

 

家賃滞納による契約解除処分は、消費者金融や銀行に比べると比較的遅めです。
滞納初期に連絡をきちんと行い、債務整理開始を知らせておけば、強制退去に発展することはほとんどありません。
「保証人が家賃を立て替えてくれるなら問題ない」と大ざっぱな対応をしてくれる管理会社が増えていることも事実です。

【家主側の視点】なかなか退去させられない理由

なかなか強制退去させられないのは、アパート住民の持つ「借家権」に法律上手厚い保障が与えられているからです。
借家権が失われるのは、よほど悪意のある損害を与えたときに限られます。事情があって滞納する・借家権者の体調悪化により家族がサポートしなければならない状況に陥いるといった状況だと、家主の一方的な都合で強制退去させることは法的に認められていません。

債務不履行を理由に住民を追い出すには、代位弁済時点から2~3ヵ月かけて裁判所に申立を行う必要があります。そこで余程の事情があると司法が認めるまでは、借主の住居は保障されるのです。

家賃には高額な遅延損害金が発生する

家賃には当然利息がないものとイメージされがちですが、滞納したときは例外です。
契約上「遅延損害金」が発生し、平均14%程度と消費者金融並みの高額な利息が加算されています。利息は1日毎に上乗せされており、刻一刻と状況は悪化します。
早めに保証人に説明しておき、利息がかさむ前に手を打たなければなりません。

滞納中の家賃は債務整理できる

滞納した家賃は債務整理できる?

 

家賃滞納に関する対処も、借金問題専門の弁護士に相談することが出来ます。
支払い意思と強制退去を猶予してもらいたい考えについて、自分では上手く伝えられない部分を弁護士から掛け合ってもらえます。

債務整理後の支払い計画

弁護士からの交渉で支払い計画を変更してもらう際は、遅延損害金をカットした上で数ヵ月以内に滞納を解消できるよう分割払いにするのが一般的です。

賃貸契約の次回更新はほぼ不可能

債務整理に応じる代わりに「賃貸契約の更新はできない」と言われるのは覚悟しましょう。退去までの間に保証人の数を増やすよう求められることもあります。
この点の判断については家主側の主導権が強く、契約更新のメリットを提示できない住民側は著しく不利です。
家賃滞納で債務整理に至った場合、いずれにしても契約満期終了までの間に転居先を見つけなければなりません。

 


家賃滞納中の債務整理によるデメリットはこちらの記事でも解説しています→
アパート家賃滞納で債務整理!ブラックリスト状態になる? 


債務整理が遅れると強制退去が早まることも

「追い出されるまで時間があるから」と何もしないのはNGです。
家賃とは関係なく近隣住民から苦情が出ている(アパートのメンテナンス費が捻出できないこと等が原因)と家主から主張されれば、より早い段階で退去させられてしまいます。

当分の住居を確保するためにも、家主との信頼関係は極力維持しておくべきです。弁護士を通じて交渉するのは、支払い意思を伝えることで家主に安心してもらうための一手段と言い換えることも出来ます。

【注意】家賃をカード払いしている場合

家賃引落に使っているカードが利用停止された時の対処法

 

クレジットカードで家賃を支払っているケース(もしくは入居と同時に信販会社と契約してカードが発行されている場合)はどうでしょうか。

こういった状況だと、クレカの利用停止処分と同時に家賃滞納が始まります。問題は「強制退去処分が1ヵ月~2ヵ月ほど早まる」という点です。
家賃をカード払いする契約の多くは、カード発行会社が保証会社を兼ねています。滞納4ヵ月目あたりに行われる代位弁済のプロセスが省かれるため、その分より早いタイミングで自主退去勧告が始まってしまうのです。

滞納連絡だけでなく「賃料供託」が必要

賃料引落用のカードが止まってしまった場合、ただ滞納連絡するだけでは強制退去を免れることは出来ません。大家または管理会社に事情説明を行った上で、法務局の供託窓口を介し賃料を現金払いする手続きが必要です。

賃貸アパートの経営者サイドからすると、最終的に賃料を受け取れるなら契約解除の法的根拠はありません。ただし、滞納者に対する不信感が多少生まれるのは避けられないでしょう。
供託が始まれば「新しい保証人を立ててほしい」「指定する別の保証会社と契約して欲しい」と言われるのは必至です。

家賃滞納中に自己破産した場合はどうなる?

家賃滞納中に自己破産すると退去させられる?

 

家賃滞納中に自己破産しても、それだけを理由に退去させられることはありません。
平成16年の法改正により「破産を理由に賃貸契約を解除してはならない」というルールが明確化されているからです(新民法621条)。

賃料は破産債権から除外できる

1~2ヵ月程度の滞納であれば、家賃を破産債権から除外することも出来ます。
破産債権とは「裁判所に報告済みの債務」であり、自己破産手続きを開始するときは全債務契約を破産債権に含めなければならないのが原則です。

しかし賃料だけは除外することが認められており、ひいては家主に破産したことを知られずに済みます。
とはいえ、内容証明郵便で督促されるほど滞納が進んでいるなら、やはり破産申立て時の報告義務は生じるでしょう。
借金が原因で家賃が支払えなくなった時は、速やかに債務整理に着手すべきです。破産申立時点から他の借金の返済負担がなくなることで、結果的に家賃滞納が解消でき、住まいに影響を与えない望み通りの結果を期待できます。

まとめ

家賃滞納が始まっても、借家権に対する保証があるため強制退去まで進むことは稀です。
しかし油断は禁物です。滞納が回りまわって家主に損害をもたらしたとして強制退去が早まる可能性があり、遅延損害金がかさんだ状態で保証人にも悪影響を与えてしまうでしょう。

どうしても払えないようなら、早々に弁護士に交渉してもらうことが大切です。住居を守る一手段として、早期の自己破産を決意しても良いでしょう。
お金がなくとも住まいは確保し続けなければなりません。今どうすべきかすぐ判断できない時は、法律相談だけでも済ませるのがベストです。

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