借金を抱える人が意外に多いことをご存知でしょうか。特に近年では自己破産件数の増加が叫ばれており、難しい情勢であることが分かります。
ここでは、借金に関するさまざまな統計とともに、現在進行形で借金問題に悩む人へ解決のヒントを紹介します。
目次
負債全体の平均残高は?
世帯が抱える負債の総残高は、2018年の時点で平均558万円だと発表されています。
負債全体の世帯別平均額は年々増加傾向にあるとも発表されており、比例して借金問題に悩む世帯も増えていると予測できます。
残債の中心は住宅ローン
同じ調査で、負債全体の89.8%を占めるのは住宅ローンであると発表されています。こちらも増加傾向にあり、持ち家を買う人も増えているという明るい情報も伝わってきます。
キャッシングorカード利用による平均借入残高は?
今度は、ローン利用状況を個人別に収集する信用情報機関のデータを見てみましょう。ここでは、キャッシングやクレジットカードの平均借入残高(=無担保ローン)に絞って調査が行われています。
多重債務者ほど1件あたりの借入残高は低い
気になるのは、借入件数が多い人ほど1契約あたりの平均借入残高が低い傾向です。
借入件数 | 1契約あたりの平均借入残高 |
---|---|
1件 | 61.8万円 |
2件 | 45.8万円 |
3件 | 39.2万円 |
4件 | 37.5万円 |
5件以上 | 46.3万円 |
参考:日本信用情報機構の最新統計データ(2019年10月末時点)
「複数社から少額ずつ借りる」というのは、典型的な多重債務者の特徴です。それぞれの貸金業者で返済実績を積むうちに、本来返済できる額よりも多く限度額を設定されてしまい、追加借入への敷居がどんどん低くなってしまうのです。
心当たりのある人は、繰上返済できるよう収支を見直すか、最終手段として債務整理を検討しましょう。
主な借金の目的・きっかけは?
政府調査に戻り、借入経験がある人へのアンケート調査結果を見てみましょう。ここでは、一般的なイメージである「借金=悪」とは異なる事態が見えてきます。
【多い順】過去3年以内の借入の目的&きっかけ
生活費不足の補てん:45.0%
欲しい物を購入するため:22.5%
クレジットカード引落資金の不足:20.5%
生活費不足とそれに関連する資金不足がきっかけで借入をしている人だけで、アンケート回答者の9割を占めることが分かります。
債務整理の件数・割合は?
日弁連が行った調査結果によると、クレジットカードや消費者金融問題で相談する人は全体の34.9%に及びます。
参考:日弁連・各弁護士会の活動状況(東京三弁護士会における法律相談の内容別割合/2017年)
任意整理・自己破産・個人再生に分けて、どのくらいの件数で実施されているのか見てみましょう。
個人再生※:約1.1万件
自己破産※:約7.3万件※2018年司法統計より
借金問題にはどんな対策が取られているのか
これほど多い借金問題について、国や団体はどんな対策をとっているのでしょうか。実のところ、どれもあまり功は奏していません。「最後は法律事務所に相談して解決を図る」という債務者が多いようです。
銀行の対策:総量規制導入
2010年代は銀行系カードローン利用者が増加し、同時に自己破産者も増え始めました。こうした状況を受け、銀行は「年収の1/3までしか貸付しない」という総量規制を導入しています。
問題は、総量規制の導入以前(2017年以前)に借入している人です。すでに限度額いっぱいまで借りて返済を続けている人に対して、どのように返済サポートをするのかは明確にされていません。
国の対策:多重債務者の相談対応強化
国民生活センターでも、多重債務の相談対応強化を行っています。最近では、ギャンブル依存症・給料買取業者被害の相談も寄せられていると報告されています。
やはり気がかりなのは、国民生活センターでは弁護士紹介まで行ってくれないという点です。根本的に借金の悩みを解決するには、相談者自身で法律事務所や弁護士を探して依頼するほかありません。
借金問題を解決するには
借金返済の悩みを解決するには、何よりもまず状況をきちんと整理することが大切です。その上で「自分でどこまで対処できるのか」をなるべく迅速に見極めましょう。
返済シミュレーションを正確に行う
借金が膨らむ原因は、返済までの期間&支払い総額の見極めが甘い点にあります。まずは収入と借入総額の正確な金額を算出した上で、金利を含めて返済シミュレーションを行ってみましょう。
収入の安定性を振り返ってみる
返済遅延のきっかけは、突然訪れるものではありません。わずかな収入減と些細な支出増加の積み重ねが、段々と重くなっていくものです。
無事に完済できるかどうかを見極めるには、収入の安定性に着目すると良いでしょう。
特に、固定給が少なかったり、時給または日給労働を行っている人は「収入が十分得られない時期でも毎月返済額を捻出できそうかどうか」を振り返ってみましょう。
無料の法律相談を利用してみる
自分でこの先どうすべきか判断がつかないときは、法律事務所の無料相談サービスを利用してみましょう。プロとしての意見より重要なのは、客観的に問題点を指摘してもらえることです。
身近な家族や友人に相談する方法も考えられますが、秘密が周囲に漏れてしまうかもしれません。
そうした意味においても、プライバシー遵守義務のある法律事務所は、安心して利用できる相談先だと言えます。
まとめ
借金の悩みは少数の人だけのものではありません。消費者金融やクレジットカード会社に対して返済を続けている人は、全国的に数十万人の単位で存在します。
国や行政でも様々な対策が取られていますが、根本的な解決にはならないと言えます。
現在進行形で債務について悩みを抱えるときは、自分で状況を整理した上で専門家への相談も検討してみましょう。