借金を抱える人に「どこから家族や職場にバレるか分からない」という不安はつきものです。債務整理すべき状況にも関わらず、郵送物や電話が心配でなかなか踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
弁護士のみならず貸金業者にもプライバシー保護義務があるため、債務者だと周囲に知られるような連絡手法をとることは滅多にありません。必然的に、家族や職場にバレるきっかけも限られてくるでしょう。
本記事では、借金の事実が周囲に知られてしまうきっかけをまとめました。
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督促電話でバレる
貸金業者が個人用携帯電話に架電してくるうちは「最近電話の回数が多い」と心配される程度で済むかもしれません。
しかし、自宅固定電話または勤務先に架電されてしまえば、周囲の人に「いよいよ何か問題(=借金)を抱えている」と確信を持たれてしまいます。
実のところ、自宅固定電話への督促はやむを得ない事情(連絡無視・音信不通・返済約束の放棄など)がある場合に限られます。貸金業法で取立てルールが設けられており、自宅・勤務先への連絡は控えるよう義務づけられているからです。
近年の単身世帯など固定電話のない家庭では、やむを得ない事情が生じた時点からより早く職場への架電がはじまります。自宅への携帯電話にかかってくるうちに誠実に対応し、確実に支払える日を指定して返済約束を行っておきましょう。
督促状が届いてバレる
督促電話と同程度に気になるのは、自宅に届いた督促状を家族に見られる可能性です。
しかし「郵便物を勝手に開封する家族がいる」といった状況でもない限り、過剰に心配する必要はありません。大手の貸金業者では、督促状の宛名だけ見てもキャッシング商品だと分からないように工夫しているからです。
とはいえ、あまりにも何度も督促状が届くと、金融機関とのあいだで何らかの取引があることは知れてしまいます。滞納を繰り返すようなら、いっそ債務整理し、平穏な日常を取り戻せるよう努めるべきでしょう。
保証人に連絡されてバレる
督促状が届いてなお滞納が続くと、保証人に対して請求が行われます。当然、ただ滞納の事実が知られるというだけでなく、経済的に迷惑をかけてしまうでしょう。
保証人への連絡が始まるタイミングは、滞納から1カ月半~2ヵ月程度と比較的早めです。
奨学金・住宅ローン・事業融資等を保証人つきで借りている人は、十分注意しましょう。
自宅訪問されてバレる
連絡を絶って滞納を続けてしまうと、債権者から委託された「在宅確認業者」に自宅訪問され、対応した家族に知られてしまう可能性があります。
在宅確認業者がやってくる目的は、督促ではありません。貸金業者に登録のある住所に居住しているかどうかを確認し、連絡を要請する内容の手紙を渡すことが目的です。したがって「玄関先で借金を巡って揉め事になる」といったトラブルは考えにくいものの、わざわざ家にいるか確認して手紙を渡すだけの行動を不審がらない人はいないでしょう。
在宅確認業者がやってくる例はごく稀です。意図的に行方をくらませるような行為(勝手に引っ越す・郵便物を返送する等)がない限り、自宅訪問されることはありません。
滞納が始まりそうな段階から一般良識的な対応をとっておけば、心配無用です。
訴状が届いてバレる
滞納が続いて貸金業者が訴えを起こした場合、特別送達郵便で「訴状」が届きます。これは本人しか受け取れず、管轄裁判所名と開封を促すメッセージが封筒に書かれています。
不在時に対応した同居家族が「何やらトラブルに巻き込まれているようだ」と心配するのは、無理もないことでしょう。
訴状が届く時期の目安は、滞納から3~5カ月ほどです。
そもそも貸金業者が訴えを起こすのは、一向に債権回収の目途(=滞納解消からの完済)がたたないことが理由です。支払い約束をして実際に滞納解消をするか、弁護士を通した交渉を行うか、どちらかの方法で「債務履行の問題が前進する」という安心感を与えておけば、訴訟を起こされる可能性を小さくできるでしょう。
差押えされてバレる
滞納が続いて差押えされた場合、職場や家族に知られてしまうことは避けられません。
給与の差押えは会社を経由して行われます。家財や収入が取り上げられれば、同居家族(特に扶養家族)の生活への悪影響は確実です。
家族と一緒に暮らしている場合、差押えの段階まで借金を隠し通せるのは稀です。裁判所から2~4回に渡って繰り返し訴状等の通知が届くことで、周囲がおのずと異変を察知するからです。
しかし、単身赴任者やひとり世帯だとどうでしょうか。保証人のいない契約で滞納してしまっていると、誰かに声がけしてもらうきっかけのないまま差押えという最悪の事態に陥るでしょう。
「家族に知られて職場にも居づらくなった」という事態にならないよう、早めに状況と向き合うことが大切です。
家族に知られたくないなら早期の弁護士依頼を
やむを得ず長期滞納してしまう状況なら、より早く弁護士に依頼することで「家族や職場にバレるきっかけ」をなくせます。
依頼を受けた弁護士が送付する受任通知によって、バレるきっかけの最たるものである電話・郵便による督促は一切止まります。債権回収の見込みなしと判断される前に交渉に入れば、法的手続きに踏み切られる可能性はごく小さくなります。
弁護士を代理人とすることは「債権者と話し合う意志がある」という誠意のひとつです。誠実さをきちんとアピールすれば、貸金業者に課されたプライバシー保護の原則もきちんと守ってもらえるでしょう。
まとめ
いったん滞納が始まると、電話・郵便物・自宅訪問などさまざまな「借金がバレるきっかけ」が生じます。あるいは、債務者自身の何かに怯えているような姿こそ、周囲の人を不審がらせてしまうかもしれません。
支払える見込みが中長期的にどうしても立たない場合は、早めに弁護士に相談しましょう。